年間の定例事務とは

適用:(労働保険:概算・確定保険料申告書、健康保険・厚生年金保険:被保険者報酬月額算定基礎届、健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届)
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定期的に行う事務は、おおむね、次の3つに大別できます。
①毎月行うもの(保険料の徴収・納付事務等)
②年に1回、一定の月に行うもの(労働保険:概算・確定保険料申告書、健康保険・厚生年金保険:被保険
者報酬月額算定基礎届)
③臨時的に行うもの(健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届)
①毎月の保険料等の徴収・納付
・雇用保険に係る労働保険料の徴収
労働保険に係る労働保険料はその全額を事業主が負担しますが、雇用保険に係る労働保険料は、事業ごとに定められた雇用保険料率を被保険者、事業主がそれぞれの料率で負担します。したがって、個々の被保険者が負担する雇用保険料は、毎月支払う賃金額にこの負担率を乗じて計算します。なお、雇用保険料は、被保険者資格を取得した月分から徴収します。
・健康保険料の徴収・納付
保険料額は、各月について次の額とされています。
① 一般保険料額(各被保険者の標準報酬月額および標準賞与額にそれぞれ一般保険料率を乗じて得た額)
② 介護保険料額(各被保険者の標準報酬月額および標準賞与額にそれぞれ介護保険料率を乗じて得た額)
※ 介護保険第2号被保険者(市町村の区域内に住所を有する40歳以上の65歳未満の医療保険加入者)である被保険者は、①と②の額の合算額。
保険料の納付義務は、事業主にあります。被保険者負担分は、賃金(報酬)を支払う際に、その者の賃金から控除して徴収しますが、控除したときには計算書(給与明細書でもよい)を作成し、被保険者に通知しなければなりません。保険料は、各月分についてそれぞれ翌月末日までに、保険者から送付される「納入告知書」により納付します。なお、口座振替による納付も可能です。
・厚生年金保険料の徴収・納付
厚生年金保険料額は、標準報酬月額および標準賞与額にそれぞれ保険料率を乗じた額です。
保険料は被保険者と事業主とが折半負担すること、その額は「標準報酬月額保険料額表」によること。賃金からの控除とその方法、納入告知書による納付、口座振替による納付等は、健康保険の場合と同様です。
② 年度更新の手続(労働保険)
労働保険料は、その算定の対象となる期間のはじめに概算額で申告納付し、その期間が終わってから、その期間中に実際に支払った賃金総額、保険料算定基礎額に基づいて計算する確定額で「精算」する仕組みになっています。確定保険料とは、この精算のために申告納付する労働保険料の呼称です。
②`標準報酬月額の提示決定(健康保険・厚生年金保険)
事業所で継続して雇用している被保険者の標準報酬月額は、報酬の実情に合わせるため、毎年7月1日において見直しが行われます。これが「定時決定」といわれるものです。「定時決定」により決定された標準報酬月額は、原則として、その年の9月から翌年の8月までの1年間固定されます。
毎年7月1日から10日の間に、被保険者報酬月額算定基礎届「総括表」を添付して、年金事務所長等に提出しなければなりません。この総括表は、算定基礎届の対象者に届出漏れがないかどうか等を確認するためのものです。
③健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与支払届
この届書は、保険料の計算の基礎となる賞与等を支払ったときに、支払った日から5日以内に、年金事務所長等に提出しなければなりません。
※ 保険料に関する事務のほか、定期的に行う事務には次のものもあります。
・預金管理状況報告・・・この報告書は、貯蓄金管理規定に基づいて労働者の預金を受け入れその管理をしている場合、前年度1年間における預金状況等を報告するときに提出するものです。
・安全衛生教育実施結果報告・・・この報告書は、指定事業場等が、労働安全衛生法で義務づけらえている安全衛生教育ついて、前年度までに実施結果を報告するために提出するものです。
・障害者雇用状況等報告書・・・この報告書は、6月1日現在における身体障害者・知的障害者の雇用に関する状況を厚生労働大臣に報告するときに提出するものです。毎年7月15日までに、管轄公共職業安定所長に提出しなければなりません。なお、この報告は、常時50人以上の労働者を雇用する事業主に義務づけられています。
・高年齢者雇用状況報告書・・・この報告書は、6月1日現在における定年および継続雇用制度の状況等、高年齢者の雇用に関する状況を厚生労働大臣に報告するときに提出するものです。毎年7月15日までに、管轄公共職業安定所長に提出しなければなりません。